意識・記憶・発言

「耳で見るのよ!」
蕎麦屋でバイトしていた時超超ベテランパートさんに言われたひと言。その店ではお客さんのコップの水が無くなったら注ぎに行かなきゃなんだけど、私はホールをきょろきょろと見回していた。その人曰く、きょろきょろするのではなく「氷の音の有無」でコップに水が入っているのか・空なのか判断しろとのことだった。コップに水が入っていれば音は鳴らない。しかし水が無くなればガラスのコップを傾けた時氷が当たってカランと音が鳴る。「こうすれば、他の仕事をしながらでもお客さんにくまなく水を注ぎに行くことができるでしょ。」これは、飲食店で働いているのであれば当たり前の事なのかもしれない。でもその当たり前を意識して言葉にするのはなかなかできない事だと思う。そして人に教えることも。
どんなに仕事ができるからといって、教えるのも上手とは限らない。新人ってめんどくさいしうざい。色々気まずいし。自分が子どもだった頃の気持ちを忘れてしまうのと同じように、新人だった頃の気持ちなんて思い出せないし思い出したくもない。

なぜか急にそんな昔のことを考えていた。思っている事を言葉にするのは難しい。野暮だ。かっこわるい。なんとなくニュアンスで分かってくれてるだろう。そしてもごもごしてるうちにだいじな人や機会を逃す。